前編では、確定申告の基本と青色申告のメリットについて解説しました。
今回は、青色申告を行うための具体的な手続きや必要書類について解説していきます。
青色申告をマスターし、節税メリットを最大限に引き出しましょう。
<目次>
1.青色申告の手続き
・青色申告承認申請書の提出
・領収書・請求書の保管
・帳簿を付ける
・所得控除の証明書を取っておく
2.青色申告に必要な書類
・確定申告書B
・青色申告決算書
3.青色申告の注意点
4.まとめ
1.青色申告の手続き ステップごとに詳しく解説
青色申告を行うためには、以下の手続きと準備が必要です。
青色申告承認申請書の提出 「青色申告します!」って申請しよう!
新たに青色申告を始める場合は、その年の3月15日までに「所得税の青色申告承認申請書」を税務署に提出する必要があります。
この期限を過ぎると、その年は白色申告となるため、早めの準備が重要です。
開業した年に青色申告をする場合は、開業日から2か月以内に提出しましょう。
申請書は税務署の窓口で入手できるほか、国税庁のウェブサイトからダウンロードすることも可能です。
提出方法は、税務署への持参、郵送、またはe-Taxによるオンライン提出が選択できます。
領収書・請求書の保管 電子帳簿保存法への対応も!
日々の取引で発生した領収書や請求書は、適切に保管しておきましょう。
これらの書類は、経費を証明するために必要となります。
冠婚葬祭などの領収書が発行されない経費の場合は、参列したことが証明できるものを保存しておくと良いです。
取引先などの事業と繋がりのある方にご祝儀や香典を渡したときも経費にできます。
紙で受け取った書類も、スキャンして電子データとしてスマホで保管も可能です。
確定申告で提出する必要はないですが、保管期間は原則として7年間です。
帳簿をつける 会計ソフトを活用して効率化!
青色申告では、日々の取引を帳簿に記録する必要があります。
青色申告は複式簿記という方法で帳簿を付けます。
「帳簿付けが大変!」と言われることが多いですが、知識がなくても会計ソフトを使えば簡単です。
帳簿は、確定申告の際に提出する必要はありませんが、税務署から提示を求められる場合があるため、適切に保管しておきましょう。
所得控除の証明書を取っておく ハガキは捨てないで!
確定申告で税金を安くするためには、支払った保険料や寄付金などを証明する書類が必要です。
これらの書類をしっかり保管しておきましょう。
● 社会保険料控除証明書
国民年金保険料を支払った場合に必要です。
支払った保険料を所得から差し引くために使います。
● 小規模企業共済等掛金控除の適用に関する書類
iDeCo(イデコ)や小規模企業共済に加入している場合に必要です。
支払った掛金を所得から差し引くために使います。
● 生命保険量控除証明書および地震保険料控除証明書
生命保険や地震保険に加入している場合に必要です。
支払った保険料を所得から差し引くために使います。
● 寄付金受領書
ふるさと納税をした場合に必要です。
寄付金を所得から差し引いたり、税金を減らしたりするために使います。
他にも申告の内容に応じて必要になる書類があるので、国税庁のホームページで確認しましょう。
2.青色申告に必要な書類 これだけ準備すればOK!
青色申告では、以下の書類を作成し、確定申告書に添付する必要があります。
私は「やよいの青色申告(オンライン)」というソフトを利用して確定申告書類の作成を行っています。
確定申告書B 所得と税額を計算する!
自分の1年間の所得と所得税額を申告する書類です。
収入金額や所得金額、所得控除額、税額などを記入します。
源泉徴収票や控除証明書などを参考に記入しましょう。
青色申告決算書 収支を正確にまとめる!
日々の帳簿に基づいて、1年間の収入や経費をまとめた書類です。
損益計算書と貸借対照表の2種類があります。
・損益計算書:1年間の収入と経費を記載し、所得金額を算出する書類
・貸借対照表:12月31日時点の資産、負債、資本の状況を示す書類
複式簿記の場合は4ページ、単式簿記の場合は2ページになります。
会計ソフトを使用する事で、自動的に青色申告決算書を作成する事が可能です。
3.青色申告の注意点
青色申告は節税効果が高い一方で、注意すべき点もいくつかあります。
● 期限内の申告
青色申告承認申請書や確定申告書の提出期限を過ぎると、青色申告の特典を受けられなくなる場合があります。
期限をしっかりと確認し、余裕を持って準備しましょう。
確定申告の期限は、原則として翌年の3月15日です。
期限に遅れると、延滞税などが課される場合があります。
● 正確な記帳
帳簿の記帳内容と証拠書類に不一致があると、税務署から指摘を受ける可能性があります。
日々の記帳と証拠書類の保管は、正確に行いましょう。
● 書類の保管義務
領収書や請求書、帳簿などの書類は、一定期間保管する義務があります。
紛失しないように、適切に整理・保管しましょう。
● 不正な申告
経費の過大計上や収入の過少申告など、不正な申告を行うと、追徴課税や罰則を受ける可能性があります。
正確な帳簿付けと申告を心がけましょう。
● 税制改正への対応
税制は毎年改正されるため、最新の情報を常に確認しましょう。
税務署のウェブサイトや税理士の情報を参考にしましょう。
4.まとめ
青色申告は、白色申告に比べて手間がかかるものの、節税効果は抜群です。
日々の帳簿付けや書類の保管をしっかりと行い、青色申告のメリットを最大限に活用しましょう。
以下に、参考になる国税庁のページを記載します。
・No.2070 青色申告制度:https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/2070.htm
・No.2080 青色申告特別控除:https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/2080.htm