会社員からフリーランスになると、働き方や収入だけでなく、社会保険や税金など、さまざまな面で変化があります。
会社がやってくれていた手続きを自分で行う必要が出てくるため、最初は戸惑うことも多いでしょう。
この記事では、フリーランスとしてスムーズにスタートを切るために、最初にやるべきことを「手続き・お金・仕事」の3つのカテゴリーに分けて詳しく解説します。
<目次>
1.手続き編
・国民年金・国民健康保険への加入
・開業届・青色申告承認申請書の提出
2.お金編
・iDeCo・NISAの活用
・小規模企業共済への加入
・確定申告の準備
3.仕事編
・履歴書の準備
・仕事の獲得
4.まとめ
1.手続き編
国民年金・国民健康保険への加入
会社を退職すると、厚生年金と健康保険から国民年金と国民健康保険に切り替える必要があります。
原則として、退職日の翌日から14日以内に手続きを行う必要がありますが、多少遅れても問題ありません。
遅れた場合は保険料を遡って支払うことになるので、早めに手続きをしましょう。
手続きは、市区町村役場の窓口で行うか、オンラインで行うことができます。
オンライン手続きは、各市区町村のホームページから可能です。
健康保険の切り替え方法は3つあります。
①:自分が住んでいる市区町村の国民健康保険に加入する
②:勤めていた職場の健康保険を任意継続する(最大2年まで)
③:業種別の国民健康保険組合に加入する
どれが一番負担が少ないのか比較して、切り替えの手続きをします。
①は最も一般的な方法で、保険料は前年の所得に応じて計算されます。
②は退職後も一定期間、会社の健康3保険を継続できます。
国民健康保険と同様に事業主負担がないので全額自己負担ですが、扶養家族がいる場合は世帯全体でみると健康保険料を国民健康保険よりも抑えられる可能性があります。
③は特定の業種に従事している場合、国民健康保険組合に加入できる場合があります。
保険料や給付内容が異なるため、ご自身の業種で加入できる組合がないか確認してみましょう。
ご自身の状況に合わせて、最適な方法を選びましょう。
※国民年金と国民健康保険はセットで加入する必要があり、どちらか一方だけ加入することはできません。
国民年金や健康保険を支払わないとどうなるのかというと、、、
・iDeCoの掛け金が止められる
iDeCoは国民年金に加入して、年金を納めていないと始められません。
既にiDeCoを始めている場合は、年金を納めていないと掛け金を止められてしまいます。
iDeCoを利用するためには、国民年金と健康保険の両方を支払っていないと始められないということです。
・将来、国民年金に加入するときに、健康保険を遡って支払わなければいけなくなる
国民年金は納付期限から2年以内であれば納めることができます。
納付期限から2年を過ぎると、時効により納めることができなくなります。
国民健康保険の届け出が遅れると保険料をさかのぼって(最高2年間)支払う必要があります。
その間、医療費が全額自己負担となります。
開業届・青色申告承認申請書の提出
アルバイトや派遣契約の場合は不要ですが、個人事業主として業務委託の仕事を受ける場合、開業日から1ヶ月以内に開業届を税務署に提出する必要があります。
また、青色申告を希望する場合は、開業日から2ヶ月以内に青色申告承認申請書を提出する必要があります。
これらの書類を提出することで、青色申告特別控除(最大65万円)や赤字の繰り越しなど、税制上の優遇措置を受けることができます。
手続きはe-Taxを利用したオンライン提出も可能です。
青色申告は、複式簿記での帳簿付けが必要となりますが、会計ソフトを利用すれば簡単です。
2.お金編
iDeCo・NISAの活用
フリーランスは、会社員と比べて退職金や企業年金がないため、老後資金を自分で準備する必要があります。
iDeCo(個人型確定拠出年金)やNISA(少額投資非課税制度)は、税制上の優遇措置を受けながら老後資金を準備できる制度です。
iDeCoは掛け金の全額が所得控除の対象となり、所得税や住民税を節税できます。
運用益も非課税で再投資できます。
NISAは運用益が非課税となる制度で、投資信託や株式などの運用に適しています。
証券会社や銀行で口座開設が可能です。
小規模企業共済への加入
小規模企業共済は、個人事業主のための退職金制度です。
掛金は全額所得控除の対象となり、将来は退職金として受け取ることができます。
事業の廃止や退職など、事業がうまくいかなくなった場合の備えとしても役立ちます。
確定申告の準備
フリーランスは、毎年確定申告を行う必要があります。
確定申告には、白色申告と青色申告の2種類があり、青色申告の方が節税効果が高いです。
日頃から帳簿付けを行い、領収書や請求書などを整理しておきましょう。
会計ソフトを導入すると日々の帳簿付けや、確定申告がスムーズに行えます。
3.仕事編
履歴書の準備
フリーランスになった当初は、紹介派遣会社を通して仕事をする機会が増えることがあります。
履歴書を提出する機会が多くなるため、あらかじめ準備しておくとスムーズです。
職務経歴やスキルを具体的に記載し、自己PR欄では強みをアピールしましょう。
パソコンで作成しておくと、修正や更新が簡単に行えます。
仕事の獲得
フリーランスとして安定した収入を得るためには、継続的に仕事を獲得する必要があります。
まずは派遣会社に登録して、何でも良いので仕事の依頼を受けてみましょう。
仕事先で人脈を広げることも大切です。
4.まとめ
フリーランスになったばかりの頃は、不安や疑問がたくさんあるかもしれません。
しかし、準備をして計画的に行動すれば、充実したフリーランス生活を送ることができます。
この記事を参考にして、必要な手続きを済ませ、お金と仕事の準備を進めていきましょう。