「どうして業務委託ってお得なの?」
「消費税で手取りが増えるって、どういうこと?」
実は、業務委託という働き方には、アルバイトとは違う、ちょっとしたおトクな仕組みが隠されているんです。
この記事では、消費税がどのように手取りに影響するのか、そして最近よく聞く「インボイス制度」についてわかりやすく解説していきます!
<目次>
1.業務委託の「消費税」のキホン
・なぜ、業務委託の報酬には消費税がかかるの?
・消費税で手取りが増えるってホント?
2.アルバイトと業務委託、手取りはどう違う?
3.インボイス制度って何?なぜできたの?
①「益税(えきぜい)」をなくすため
② 複数の消費税率に対応するため
4.インボイス制度でどう変わるの?
1.業務委託の「消費税」のキホン
なぜ、業務委託の報酬に消費税がかかるの?
簡単に言うと、業務委託で仕事をする場合、「お店」と同じ扱いになるからです。
お店が商品を売ったり、サービスを提供したりするとき、その代金には消費税が上乗せされますよね。
たとえば、スーパーでパンを買うと、パンの値段に消費税がプラスされています。
業務委託もこれと同じ考え方なんです。
クライアントに対して、自分のスキルや労働という「サービス」を提供しています。
だから、そのサービスに対して消費税がかかる、というルールになっているんです。
消費税で手取りが増えるってホント?
業務委託で仕事を受ける場合、もらう金額に「消費税」が上乗せされて支払われます。
たとえば、クライアントから10万円の仕事を頼まれたとします。
今の消費税は10%なので、クライアントは10万円に加えて、1万円の消費税を支払ってくれます。つまり、自分の売上は合計で11万円になるわけです。
この1万円の消費税は、本来なら国に納めるお金です。
しかし、年間の売上が1000万円以下の場合は、消費税を国に納める必要がありません。
クライアントから受け取った消費税の1万円を、そのまま自分の手元に残すことができるんです!これが「消費税で手取りが増える」といわれる理由です。
もちろん、この1000万円を超えると消費税を納める義務が発生しますが、ビジネスを始めたばかりの頃や、副業として業務委託をする方にとっては大きなメリットになります。
2.アルバイトと業務委託、手取りはどう違う?
アルバイトと業務委託では、税金や社会保険の扱いが大きく違います。
この違いが、最終的な手取り額に影響します。
アルバイトの場合
- 「給料をもらう人」として扱われる
- 給与は【労働の対価】として扱われるため、消費税はかからない
- さらに、給料から税金(所得税や住民税)や社会保険料(健康保険、厚生年金、雇用保険など)が自動的に引かれるので、手元に残るお金は少なくなる
業務委託の場合
- 「自分で事業をする人(=個人事業主)」として扱われる
- 業務委託は【事業としてサービスを提供する】ことになるので消費税の対象になる
- お金をもらうときに、消費税が上乗せされて支払われる
- 年間の売上が小さい(1000万円以下)間は消費税を納めなくて良いので、その分が手元に残るお金が増える
- もらうお金から税金や保険料が自動で引かれない(自分で国民健康保険や国民年金、住民税、所得税を納める)
- 仕事で使ったお金を「経費(けいひ)」として認められるので、売上から経費を引いた金額に対して税金がかかる
業務委託では、消費税を受け取れるだけでなく、仕事に関わる費用を「経費」として計上できるのが大きなポイントです。
たとえば、自宅で仕事をしているなら家賃の一部を経費にしたり、仕事に必要な本を買ったり、セミナーに参加したりする費用も経費にできます。
こうすることで、税金を計算するときのもとになる金額=所得(しょとく)を減らすことができ、さらに手元に残るお金を増やすことができます。
3.インボイス制度って何? なぜできたの?
インボイス制度(正式には「適格請求書等保存方式」といいます)は、2023年10月に始まった、消費税に関する新しいルールです。
この制度ができた主な理由は、大きく分けて2つあります。
①「益税(えきぜい)」をなくすため
これまでの消費税のルールでは、年間の売上が1000万円以下の小さな事業者さん(これを「免税事業者(めんぜいじぎょうしゃ)」といいます)は、消費税を国に納めなくてよかったんです。
でも、免税事業者さんも、お客さんから商品やサービスの代金と一緒に消費税分を受け取ることができました。
たとえば、1万円の仕事なら「消費税分を足して1万1000円くださいね」といって、消費税の1000円を受け取れたんです。
このとき、免税事業者さんは受け取った1000円を国に納める義務がないので、その1000円はそのまま自分の収入になっていました。
まるで、お客さんから預かった消費税が、そのまま自分の利益になってしまうような状態でした。これを「益税(えきぜい)」といいます。
国は、この「益税」をなくしたいワケです。
② 複数の消費税率に対応するため
2019年10月から、消費税は「8%」と「10%」の2種類になりましたよね。
食べ物などは8%、それ以外は10%というように、物によって税率が違うので、お店の人はお金のやり取りのたびに、どちらの税率が適用されているかを正確に把握して、消費税の金額を計算する必要が出てきました。
インボイス制度では、「適格請求書(てきかくせいきゅうしょ)」という、正しい税率や消費税額がきちんと書かれた請求書を発行することが必要になります。
これによって、商品を売る側も買う側も、取引にかかる消費税の金額を正確に把握して、間違いなく税金を納められるようになるんです。
4.インボイス制度でどう変わるの?
インボイス制度が始まったことで、大きな会社(消費税を国に納める義務がある会社)が物を買ったりサービスを受けたりするときに、ある変化が起きました。
これまで、会社は仕入れにかかった消費税を、自分が国に納める消費税から差し引くことができました。
でも、インボイス制度が始まってからは、この差し引きをするためには、「インボイス(特別な請求書)」というものが必要になったんです。
このインボイスを出せるのは、「消費税を国に納めている事業者」だけ。
ということは、もし会社が「消費税を納めていない事業者さん」から物を買っても、インボイスをもらえないので、仕入れにかかった消費税を差し引くことができなくなってしまいました。
会社にとっては、その分が「損」になってしまうわけです。
だから、会社は「インボイスを出せる事業者」と取引したがるようになります。
その結果、これまで消費税を納めていなかった事業者さんたちも、「このままじゃ仕事が減るかも…」と考えて、自分も消費税を納める事業者になって、インボイスを出せるようにしよう、と考える人が増えているんです。
これは、国が「益税」(消費税を納めなくていい人が受け取っていた消費税が、そのまま利益になっていた問題)をなくして、消費税の集め方をより公平にするための新しい仕組みなんです。
まとめ
業務委託という働き方は、消費税の仕組みを理解し、特に年間の売上が1000万円以下であれば、受け取った消費税分が手元に残るなど、アルバイトよりも手取りを増やせる可能性があります。
ただし、インボイス制度が始まったことで、これまで消費税を納めなくてよかった人も、今後の働き方や事業の計画を見直す必要が出てきています。
自分の状況に合わせて、インボイス制度にどう対応するか、消費税をどう考えるかなどを調べて、一番良い方法を選ぶことが大切です。
業務委託の働き方に興味がある方や、インボイス制度についてもっと詳しく知りたい方は、税金の専門家(税理士さんなど)に相談してみるのも良いでしょう。
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