【仕事の疑問】巡回健診のマンモグラフィ、過去画像は比較できる?知っておきたいポイント:MMG編

巡回健診(レントゲン車での撮影)の仕事のときに、受診者さんから「毎回同じところに所見が指摘されて、精密検査が必要と結果が来る」と言われることがあります。

その理由は、巡回健診では当日撮影した画像のみで診断され、過去画像と比較されないことが多いからです。

今回の記事では、巡回健診におけるマンモグラフィの現状や過去画像との比較について、東京都保健医療局の回答をもとにまとめました。

1.巡回健診のID管理はどうなってる?

巡回健診では、受診者固有のIDではなく、撮影日や受付番号などを組み合わせたIDを使用することが一般的です。

例えば、「20250101-〇〇-0001」のように、「当日の日付+検診車の号車+受付番号」でIDが構成されます。

そのため、過去の画像と比較することが難しい場合があります。

また、健診を請け負う会社が毎年変わる場合もあるため、過去画像の比較が困難になることがあります。

健診会社の中には、固有のIDで管理しているとこともあります。

2.過去画像との比較は法律で義務化されてる?

健康増進法に基づく市区町村のがん検診は、厚生労働省の「がん予防重点健康教育及びがん検診実施のための指針」(以下、「国指針」という)に沿って実施することが推奨されています。

国指針の内容を踏まえて、国立がん研究センターが作成している「検診実施機関用チェックリスト」や「東京都乳がん検診精度管理のための技術的指針」において、過去画像との比較読影が推奨されていますが、法律上の義務ではありません。


※参照:国立がん研究センター「検診実施機関用チェックリスト」


※参照:東京都保健医療局「東京都乳がん検診の精度管理のための技術的指針 別紙1.検査の精度管理(3)」

 

比較読影を行うメリットについては、日本医学放射線学会・日本放射線技術学会の「マンモグラフィガイドライン(第4版)」において、過去画像との比較読影が乳がん検出の感度・特異度向上に寄与するとされています。

マンモグラフィガイドライン(第4版)
「経時的比較読影を行うことによって、単独では気づきにくい軽微な所見の変化により乳がんの検出が可能になるとともに、不必要な精密検査を避けることも可能であり検診においても診療においても感度、特異度双方の向上に寄与できる。」

【参考資料】
● 参照:厚生労働省「がん予防重点健康教育及びがん検診実施のための指針」
● 参照:国立がん研究センター「検診実施機関用チェックリスト」
● 参照:東京都保健医療局「東京都乳がん検診精度管理のための技術的指針」

3.過去画像比較の実施状況は?

東京都では、「過去画像との比較に関する具体的な状況を把握していません」とのことです。

過去画像との比較に関する具体的な実施状況は、各健診会社に一任されていて、どのような医師がどのように読影しているかも曖昧ということです。

4.受診者さんにできること

アルバイトの技師が言えることは、「当日撮影した画像を後日お渡しすることは可能かもしれない」ということくらいです。

健診会社がどこまで仕事を請け負っているか分からない(撮影+読影までの場合や、撮影のみの場合があり、どのように処理・読影しているかが分からない)ため、一介のアルバイトは下手なことは言えません。

もし受診者さんに何か聞かれたら、「受付の担当者に確認してください」とお伝えしましょう。

受診者さんが精査を受けていた場合は、問診票にその結果を記載しましょう。

まとめ

住民健診などの巡回健診は、安く健康診断を受けられる反面、過去画像との比較は行われない可能性が高いので、毎回同じ所見が引っかかってしまうことが多いです。

受診者の方に質問されたときに回答できるよう、アルバイトだからとただ撮影するだけではなく、健康診断全体の仕組みを理解しておくことも重要です。

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