業務委託で仕事を受けるようになると請求書を作成する必要があります。
インターネット上には無料の請求書のテンプレートが沢山ありますが、放射線技師がそのまま利用できるフォーマットはありません。
そのためExcelで作成することになるわけですが、何を記載すればいいのか分からない状態で一から請求書を作るのは大変です。
この記事では、放射線技師の「請求書の作り方」や「請求書を作成する前に確認すべきこと」などについて綴ります。
※私はまだインボイス登録は行っていないので、インボイス登録をしていない場合の請求書の作成方法について記載します。
この請求書の作り方が絶対ではないので、ご自身で使いやすいようにアレンジしてみてください。
< 目次 >
1.請求書の作り方
・請求書に記載している項目
①宛名
②送付者情報
③請求日
④依頼毎の詳細、交通費
⑤小計
⑥消費税
⑦合計金額、請求金額
⑧振込先
⑨備考
・その他記載した方がよい項目
⑩請求書番号
⑪支払期限
2.請求書を作成する前に確認すべきこと
・インボイス登録
・消費税
・交通費
・振込手数料
3.請求書の保管期間
4.既にインボイス登録をしている場合
まとめ
1.請求書の作り方
請求書のフォーマットに法的な定めはありませんが、書き方を決める上で重要なのは取引先の要望です。
取引先によって記載すべき項目が変わるので、事前に確認する必要があります。
下記の項目が記載されていれば、請求書としては問題ないようです。
・取引先の氏名もしくは法人名
・請求書作成者の氏名もしくは法人名
・取引年月日
・取引内容
・取引金額(税込)
請求書に記載している項目
私が普段使っている請求書をもとに、項目毎の書き方をみていきます。
※この例は「交通費は内税、源泉徴収あり」で処理した場合の請求書です。
① 宛名
宛名には、請求書を受取側の会社名または個人名や屋号を記載します。
会社名が前株または後株なのかの確認は必須です。
宛名と敬称は一文字空けて表記し、個人宛の場合は「様」、会社や部門宛の場合は「御中」です。
続けて郵便番号と住所を一行ずつ改行して記入します。
② 送付者情報
「名前または屋号」「住所」「電話番号」「メールアドレス」など請求書の作成者(自分)に関する情報を記載します。
押印の有無は請求書の効力に影響はないようです。
押印する場合は社名もしくは氏名に少し重ねて押印することで、請求書が改ざん・複製されていない証明になります。
③ 請求日
請求書を発行した日付を記載します。
取引先の会計処理に影響を与えてしまうので、請求書の作成日や印刷した日ではなく、取引先の締め日に合わせます。
日付は西暦和暦どちらでもOKで、請求書を作成する月の一番最後の日付けにすることが多いです。
④ 取引内容、交通費
取引内容は、取引先の方が請求書を見てスムーズに内容を理解できるように配慮して記載します。
私は「日付」「健診先」「内容(モダリティー)」「単価」「時間」「時間追加、人数追加」「金額(税別)」「交通費」「備考」を記載するようにしています。
モダリティーの表記方法は取引先に指定される場合があるので事前に確認します。
備考の欄には、追加料金が発生した場合その旨を記載するようにしています。
金額は内税(消費税込)または外税(消費税別)と明記し、単価は税抜で記載した上で小計の後に消費税を記載します。
交通費に関して普段気に留めることはないですが、運賃+10%の消費税がかかっています。
電車代が110円の場合、運賃100円+消費税10円ということです。
そのため請求する際は、交通費に含まれる消費税を考慮して処理する場合(内税または外税)と消費税を考慮せず処理する場合(実際にかかった金額をそのまま請求する)の3つのパターンがあります。
一番良いのは消費税を考慮しない方法ですが、消費税を考慮する場合は内税の方がお得になります。
また、新幹線やタクシーなど高額な交通機関を利用したときは領収書の提出が必要です。
清算の際に忘れずにもらうようにします。
⑤ 小計
小計には、取引内容の金額(税別)の合計金額と交通費の合計金額を記載します。
単位は「¥」または「円」どちらでも問題ないですが、統一するようにします。
⑥ 消費税(税率)
消費税は、標準税率(10%対象)および軽減税率(8%対象)を税率ごとに区別して、請求対象がどちらに該当するのか分かるように記載します。
放射線技師の準委託契約における報酬額の税率は10%対象です。
源泉徴収については個人事業主はないことが多いですが、取引先によっては源泉徴収があるのでその場合は加味した金額で請求します。
📣関連記事はこちら【個人事業主の消費税と源泉徴収について】
⑦ 合計金額、請求金額
合計金額は、消費税と合算した金額(税率ごとに区分して合計した税込対価の額および適用税率)を記載します。
⑧ 振込先
取引先の方が入金間違いをしないように「金融機関名」「支店名」「口座種別」「口座番号」「口座名義(カタカナ)」などの口座情報を記載します。
⑨ 備考
備考にはモダリティー毎の単価や宿泊を伴う業務の出張費など、業務委託契約を締結した際のお金に関する決まり事を記載するようにしています。
その他に記載した方がよい項目
基本的に上記の項目があれば請求書として成立しますが、取引先に確実に入金してもらうために以下の情報を記載するとより安心です。
- 請求書番号
- 支払期限
⑩請求書番号
請求書番号とは、請求書の管理を効率化するための番号です。
請求書ごとに固有の通し番号を付与することで、請求書の識別が容易になるので便利です。
⑪支払期限
振込期日は翌月末に設定することが多いですが、取引先の支払いルールに沿って決めます。
書き方は請求書の発行日と統一します。
余談ですが、支払方法には取引毎に請求する「都度方式」、毎月の取引毎に請求する「掛売方式」の2通りがあります。
掛売方式は請求書払いとも呼ばれ、この方法で支払われることが多いです。
2.請求書を作成する前に確認すべきこと
トラブルを防ぐためにも、請求書を作成する前(業務委託契約を締結する際)に決めておくべき項目があります。
- インボイス登録
- 消費税
- 交通費
- 振込手数料
インボイス登録
私は現時点でインボイス登録を求められていないため行っていませんが、取引先によっては登録を行わなければいけません。
登録方法は必要書類に記入して郵送するだけなのでとても簡単です。
消費税
交通費
交通費については、取引先によって処理の仕方が異なります。
私の場合は、実際にかかった金額を請求する場合と税別金額を請求する場合の2パターンがあります。
税別金額を請求する場合は、小数点以下の処理方法を取引先と事前に決めておきます。
📣関連記事はこちら【交通費の請求方法】
振込手数料
振込手数料は振り込む側が負担するの原則ですが、別途取り決めがある場合はそれに従う形で問題ありません。
事前に一言もなく請求金額から勝手に振込手数料が引かれていることもあるので、後々トラブルにならないよう必ず確認します。
3.請求書の保管期間
請求書を受け取った側は、法人税法や所得税法で請求書の保管が義務付けられています。
事業年度の確定申告書の提出期限の翌日から法人の場合は7年間、個人事業主の場合は5年間です。
※個人事業主でも消費税の課税事業者にあたる場合は、法人と同じく7年間の保管義務があります。
4.既にインボイス登録をしている場合
2023年10月1日からインボイス制度が導入され、消費税の仕入税額控除を受けるためには「適格請求書」の交付・保存が必要になりました。
適格請求書とは、売り手(請求書を発行する側)が買い手(請求書を受領する側)に対して、正確な適用税率や消費税額等を伝える書類のことです。
一定の記載要件を満たしていれば、領収書や仕入明細書でも適格請求書として扱うことができます。
インボイス登録をしている場合、消費税の仕入税額控除の対象となるために下記の項目を必ず記載する必要があります。
- 書類作成者の氏名または名称および登録番号
- 取引年月日
- 取引内容(軽減税率の対象品目である旨)
- 税率ごとに区分して合計した税込対価(又は税抜対価)の額及び適用税率
- 税率ごとに区分した消費税額等
- 書類の交付を受ける事業者の氏名または名称
【消費税の仕入税額控除とは】
課税事業者が納税する消費税を計算する際に、売上にかかる消費税から仕入れにかかった消費税を差し引いて消費税が二重課税にならないようにする制度のことです。
まとめ
対価は請求書を取引先が受け取り、内容を了承することで支払われます。
請求書に決まったフォーマットはありませんが、必ず記載すべき項目と取引先に入金してもらうために必要な項目は把握しておきたいです。
金額ミスのないように送付する前に必ず最終確認を行いましょう。