収入のある人は必ず行わなければいけないのが確定申告。
その確定申告を「青色申告」という方法で行うことで、節税に繋がり手取りを増やすことができます。
フリーランスだけでなく、病院で働きながら副業で個人事業主をしている方も青色申告を利用できます。
折角稼いだお金からたくさん税金が引かれるのはもったいないので、自分で税金をコントロールしてお得に節税しましょう。
この記事では、「青色申告のメリット」や「青色申告に必要な書類とやるべきこと」について綴ります。
< 目次 >
1.確定申告とは
・確定申告の種類
・青色申告ができる人、できない人
・事業所得と雑所得の違い
2.青色申告のメリット・青色申告特別控除
・給与所得と損益通算できる
・最長3年まで赤字を繰り越せる
・少額減価償却資産の特例が受けられる
・従属者への給与を経費にできる
3.青色申告をするために必要なこと
・青色申告承認申請書を提出する
・領収書を取っておく
・帳簿を付ける
・請求書を作成する
4.青色申告で提出する書類
・所得税の確定申告書
・青色申告決算書
5.まとめ
1.確定申告とは
収入のある全ての人が確定申告で所得税を納める必要があります。
正社員は会社側が勝手にやってくれていますが、フリーランスは自分で1年間の所得を計算・申告・納税しなければいけません。この一連の作業が「確定申告」です。
確定申告の種類
その方法として「白色申告」と「青色申告」の2種類があります。
白色申告は、青色申告よりも経理作業が簡単ですが、控除がないので節税のメリットが少ないです。
青色申告は、白色申告よりも細かい帳簿付けが必要ですが、最大65万円の控除と経費計上を駆使することでお得に節税できます。
個人事業主は白色・青色のどちらの方法でも申告できますが、どちらにするかは節税効果の高い青色申告一択です。
帳簿付け・保存は両者ともに必須です。
青色申告ができる人・できない人
フリーランスで青色申告ができるのは、下記の条件に当てはまる人です。
- 事業所得、不動産所得、山林所得のいずれかがある人
- 所得税の青色申告承認申請書を提出している人
青色申告は、個人事業主として業務委託契約を結び、売上(事業所得)のある人が行える方法です。
個人事業主の所得は、事業を通じて得られた所得なので「事業所得」になります。
フリーランスでもアルバイトや派遣契約の仕事をしている人(給与所得しかない人)は青色申告ができないので、白色申告で確定申告を行います。
事業所得と雑所得の違い
事業所得と間違えやすい所得に「雑所得」があります。
雑所得とは、下記の所得に当てはまらない所得のことです。
- 給与所得
- 退職所得
- 利子所得
- 配当所得
- 譲渡所得
- 事業所得
- 不動産所得
- 山林所得
公的年金や事業と認められない副業などが該当します。
副業が事業として認められるかどうかは、明確な基準はありません。
・継続して対価を得ているか
・事業主がリスクを負っているか
・事業主が自分の判断で事業を運営しているか
などの要素を総合的に判断して、事業性をの有無を判定するようです。
副業でもしっかり帳簿付け・保存をしていれば、事業所得として申告できます。
雑所得は確定申告の際、青色申告を行うことはできません。
2.青色申告のメリット
青色申告を行うことで節税につながる5つのメリットがあります。
- 青色申告特別控除
- 給与所得と損益通算できる
- 最長3年まで赤字を繰り越せる
- 少額減価償却資産の特例が受けられる
- 従属者への給与を経費にできる
青色申告特別控除
条件を満たすことで「65万円/55万円/10万円」のいずれかの控除を受けることができ、所得から差し引ける控除額が多いほど節税につながります。
控除額の違いは、帳簿付けをシンプルにやるか、厳密にやるかによって異なります。
10万円の控除は「単式簿記」という簡単なタイプ、55万円・65万円の控除は「複式簿記」という細かいタイプの帳簿付けが必要です。
会計ソフトを使えば簡単に帳簿付けできるので、簿記の知識がなくても問題ありません。
確定申告を郵送またはe-Taxで提出するかによって55万円か65万円なのか変わります。
給与所得と損益通算できる
損益通算とは、
例えば、
1年間の収入が「事業の売上:100万円、経費:150万円、給与:400万円」の場合
事業所得は「売上 − 経費」で50万円の赤字になります。
その50万円の赤字分を給与所得400万円と合わせると、年収が350万円になります。
このように給与所得と事業所得の2つの収入がある場合、事業所得が赤字なら給与所得からその赤字分を差し引くことができます。
この差し引いた所得で税金が計算されるので、納める税金が下がります。
「病院で働きながら個人事業主として副業をしている人」、「フリーランスでアルバイトと個人事業主の両方の収入がある人」が使える効果抜群な節税方法です。
最長3年まで赤字を繰り越せる
所得が事業所得のみの場合、事業で赤字が出ても損益通算できないので、赤字を繰り越して翌年以降の事業所得と相殺します。
最長3年まで赤字を繰り越すことができます。
例えば、
個人事業主になった1年目は200万円の赤字で、2年目以降は黒字にできたとすると、、
2年目の所得は
50万円(黒字) - 200万円(赤字) = -150万円
3年目の所得は
100万円(黒字) - 150万円(赤字) = -50万円
のように所得がマイナスになる(= 所得がない状態)なので所得税を納める必要がありません。
4年目の所得は
150万円(黒字) - 50万円(赤字) = +100万円
この100万円の所得をもとに税金を計算します。
赤字を繰り越すと所得を下げられるので、納税額を減らし節税につながります。
少額減価償却資産の特例が受けられる
事業で使用する目的で購入した物のうち、10万円以上の物は減価償却をしなければいけません。
10万円以上20万円未満の物は、通常数年に分けて経費にするのですが、この制度を利用すると10万円以上30万円未満の物をその年の経費として全額計上できます。
購入した年の売上が多ければ、通常の減価償却より少額減価償却資産の特例を受けた方が所得を下げられるので節税になります。
従属者への給与を経費にできる
家族が事業を手伝っている場合、その給与を必要経費にすることができます。
従属者というのは、「自分の事業を手伝ってくれている家族」または「家族が事業をしている場合、その手伝いをしている自分」のことをいいます。
フリーランス技師において、この仕組みを利用する機会はあまりないですが、その家族が別に本業がある場合は対象外になります。
3.青色申告をするために必要なこと
青色申告承認申請書を提出する
個人事業主になった年の確定申告を青色申告で行いたい場合、開業届を出してから2ヶ月以内にこの書類を提出することが原則となっています。
後々出すのであれば開業届と合わせて提出するのが良いと思います。
領収書を取っておく
給与所得では経費は認められていませんが、個人事業主や副業で稼いだ事業所得は確定申告を行うことで「経費」が認められます。
領収書やレシートがないと必要経費に計上できないので、必ずもらって保存しておきます。
冠婚葬祭などの領収書が発行されない経費の場合は、参列したことが証明できるものを保存しておくと良いです。
取引先などの事業と繋がりのある方にご祝儀や香典を渡したときは経費にできます。
確定申告で提出する必要はないですが、5年または7年の保管義務があるので確定申告後も大切に取っておきましょう。
📢【経費】についての記事はこちら
帳簿をつける
「青色申告は帳簿付けが大変!」と言われることが多いですが、会計ソフトを使えば簡単です。
昔は簿記の知識がないとできなかったかも知れませんが、知識がなくても問題なく帳簿付け可能です。
青色申告は複式簿記という方法で帳簿を付けます。
請求書の作成
アルバイトや派遣は会社側が給与明細を作成してくれますが、個人事業主は自分で請求書を作成して取引先へ送らなければいけません。
私はこんな感じで請求書を作っています。
📢【請求書の作り方】についての記事はこちら
所得控除の証明書を取っておく
確定申告で添付が必要な書類には、以下の書類があります。
- 社会保険料控除証明書
- 小規模企業共済等掛金控除の適用に関する書類
- 生命保険量控除証明書および地震保険料控除証明書
- 寄付金受領書
【社会保険料控除証明書】
国民年金に加入している人が支払った国民年金保険料の控除を受けるために必要
【小規模企業共済等掛金控除の適用に関する書類】
iDeCo(確定拠出年金)や小規模企業共済掛金の支払額について控除を受けるときに必要
【生命保険量控除証明書および地震保険料控除証明書】
生命保険や地震保険の保険料について控除を受けるときに必要
【寄付金受領書】
ふるさと納税をして寄附金控除や税額控除を受けるときに必要
他にも申告の内容に応じて必要になる書類があるので、国税庁のホームページで確認が必要です。
4.青色申告で作成する書類
青色申告では、1年間の所得基に税金を計算・申告するための「確定申告書」、年間の収入や経費などをまとめた「青色申告決算書」を作ります。
私は「やよいの青色申告(オンライン)」というソフトを利用して確定申告書類の作成を行っています。
所得税の確定申告書
確定申告書には、自分(個人事業主)の基本情報、収入や所得の金額、所得控除、計算された税金額などを記載します。
収入金額は個人事業主として事業で得た収入、所得金額は収入から必要経費と控除を引いた金額を記入します。
青色申告決算書
帳簿付けしたした結果を決算書の形で示すものです。
損益計算書とその内訳、貸借対照表の計4枚で構成されます。
損益計算書は1年間でどれだけ儲けたか、貸借対照表は事業の財政(資産と負債)がどのような状態かを把握するための書類です。
青色申告ソフトを使うことで、知識がなくても簡単に青色申告の書類を作成できます。
やよいのサイトでとても詳しく説明してくれていますので、分からないことはこれを見れば解決できます。
まとめ
個人事業主になったらメリットが大きい青色申告を行った方がより手取りを増やすことができます。
まだ事業所得がない方は、個人事業主として業務委託契約を結べるように頑張りましょう。
簿記の知識がなくても青色申告ソフトを使えば、誰でも簡単に確定申告できます。
是非次の確定申告は青色申告で行ってみてください。