病院勤務で安定収入を確保しつつ、副業で収入を上げたい!
しかし、収入が増える喜びの一方で、税金の悩みも尽きません。
そこで知っておきたいのが「損益通算」という節税テクニック。
これを活用すれば、税金を賢くコントロールし、手取りを増やすことができます。
この記事では、損益通算の仕組みから具体的な活用法まで、わかりやすく解説します。
結論
損益通算は、複数の所得がある個人事業主にとって、税負担を軽減し、手取り収入を増やすための有効な手段です。
副業を始めたばかりの頃は、何かと初期投資が必要になり、なかなか利益が出ずに赤字になることも珍しくありません。
しかし、この副業で生じた赤字は、会社からの給与所得と相殺する「損益通算」という制度を利用することで、所得税を減らすことが可能です。
つまり、副業の赤字を有効活用することで、節税効果を得られるのです。
1.損益通算とは?
損益通算とは、簡単に言うと、1年間で出た「利益」と「損失」を足したり引いたりして、税金を計算する仕組みのことです。
複数の所得がある場合に、ある所得で出た赤字を、黒字の所得から差し引くことができます。
これにより、課税対象となる所得金額を減らし、節税効果を得ることができます。
例1:病院の収入が400万円、副業の収入が100万円の場合
・給与所得:400万円
・事業所得:100万円
・所得控除:103万円(基礎控除:48万円、給与所得控除:55万円)
控除を引いて、税金を計算するもとになる所得は、、、
500万円ー103万円=397万円
この金額をもとに、税金を計算すると、、、
397万円×20%ー42.75万円=36.65万円
納める所得税は、36.65万円となります。
例2:病院の収入が400万円、副業が▲50万円の赤字だった場合
・給与所得:400万円
・事業所得:▲50万円
・所得控除:103万円(基礎控除:48万円、給与所得控除:55万円)
控除を引いて、税金を計算するもとになる所得は、、、
400万円ー50万円ー103万円=247万円
この金額をもとに、税金を計算すると、、、
247万円×10%ー9.75万円=14.95万円
このように、損益通算をすることで、年間20万円以上の節税になります。
2.なぜ損益通算をするの?
損益通算をすることで、税金を安くできる可能性があります。
副業で赤字になった場合、本業の給与所得から副業の赤字を差し引く「損益通算」という仕組みを使うことで、課税対象となる所得を減らし、税負担を軽減できます。
つまり、副業の赤字を上手に活用することで、節税効果が期待できるのです。
3.どんなときに損益通算できるの?
損益通算は、以下の4つの所得で損失が出た場合に利用できます。
● 事業所得:個人事業による収入
例:Webデザイナーとして活動し、年間売上が100万円、広告費やソフトウェア代などの必要経費が150万円の場合、事業所得はー50万円(赤字)となります。
● 譲渡所得:土地や株などを売ったときの収入
例:株式投資で、ある銘柄を100万円で購入し、80万円で売却した場合、譲渡所得はー20万円(赤字)となります。
● 不動産所得:マンションやアパートなどの賃貸収入
例:マンションの賃貸収入が年間200万円、ローンの利息や修繕費などの必要経費が年間250万円の場合、不動産所得はー50万円(赤字)となります。
● 山林所得:山林を売ったときの収入
例:所有する山林の木を伐採し、売却収入が50万円、伐採費用や運搬費などの必要経費が70万円の場合、山林所得はー20万円(赤字)となります。
4.損益通算の注意点
ただし、以下の点に注意が必要です。
● 損益通算できない所得がある
全ての所得が損益通算の対象になるわけではありません。
例えば、給与所得や一時所得、雑所得などは対象外です。
損失額が大きく、その年の所得から引ききれない場合は、翌年以降に繰り越すことができます(繰越控除)。
繰越控除の期間や条件は、所得の種類によって異なります。
例えば、事業所得で100万円の赤字が出た場合、その年の他の所得と損益通算しても引ききれないときは、翌年以降3年間にわたって繰り越して控除することができます。
● NISA口座での損失は、損益通算できない
NISA口座での損失は、他の口座での利益と損益通算できず、損失の繰越控除もできません。
● 事業所得として認められる副業をする
副業が事業として認められるためには、継続的な収入や活動時間、社会的な認知度などが重要であり、単発の収入や趣味程度の活動では事業とは認められない可能性があります。
5.損益通算をするには?
損益通算をするには、確定申告が必要です。
確定申告書に、各所得の金額と損失額を記入し、損益通算後の所得金額を計算します。
確定申告ソフトを使えば、初心者でも比較的簡単に手続きができます。
まとめ:損益通算で賢く節税しよう!
損益通算は、個人事業主が賢く節税するための強力な武器となります。
複数の所得がある方は、損益通算を正しく理解し、確定申告で適切に適用することで、税負担を軽減し、より多くの収入を手元に残しましょう。